みなさんキャッチ―ですか。ぬんです。
チャールズ・ポンジさんって知ってます?
1920年にタイーホされた、実在の詐欺師だそうな。
彼が生み出した詐欺の手法は”ポンジスキーム”と呼ばれて、2013年にもこの手法を使った1,000億円規模の詐欺事件が起きたそうです。
どんな手法かと言えば、まずは「出資してくれたお金で事業をやって、利益が出たら配当金返しまっせ~」的な感じでお金を集めます。
が、実際には事業なんか1ミリも行わない。
じゃあ配当金をどう支払うかといえば、後から募った別の出資者から集めたお金で支払うんですね。
こうやって自転車操業式に資金を回していくわけですが、サイクルのどこにも利益を生み出すタイミングがないので、必ずどっかで破綻するってここまで全部Wikipediaに書いてありました。
詐欺ってもっとスマートというか、楽に稼ぐようなイメージがあるのですが、”ポンジスキーム”はねずみ講よろしく出資者をどんどん増やしていかなきゃいけないわけですし、負債も膨らんでいく一方なので、作業量的にも精神的にも結構辛そうな感じですね。じゃあもう普通に働いた方がいいのでは。
さて今日は、そんな”ポンジスキーム”の辛さを体験できちゃう、こんなゲームの紹介です。
結論から言おう。超辛いぞこのゲーム。
3~5人用
プレイ時間:60~90分
その名もズバリ『ポンジスキーム』です。ストレイト、まっすぐだね。
やることは恐ろしい程にシンプル。
まずは、4種類ある事業タイルから…
好きなものを1枚受け取って手元に置きます。
で、場の中央に並んだカードから1枚を引き取ります。
このカードが、我々の偽の事業に投資してくれる出資者を表しているわけですな。
カードはこんな作りになっていまして、ゲーム的に言えば、「このカードを引き取ると即座に32ドルもらえるけど、以降3ターンが経つごとに29ドル払わなければならない」みたいな感じです。
こんな出資者の募り方をしてたら6ターン経つと赤字になっちゃうのは目に見えてるのですが、別に問題ありません。配当金を支払うために、また新しく出資者を募ればいいんですから。
何ターン後にいくらの配当金を支払わなければならないかは、六角形のカウンターで管理します。
写真の例だと、2ターン後に65ドル、3ターン後に29ドル、4ターン後に63ドルの支払いが必要。ヤバくね?
基本的にはこれを繰り返し、誰かが破産、すなわち配当金を支払えなくなったらゲーム終了。
持っている事業タイルや残った現金が得点になります。事業タイルは、同じ種類のものをいっぱい持っていれば持っている程高得点。
破産しちゃったそこのキミは、もちろん最終得点計算に参加することはできないゾ☆
ここまで読んで、「いや言うほど辛くなくない?」と思ったそこのアナタ!本当に恐ろしいのはコイツ。この財布ですよ。
実はこのゲーム、出資者カードを受け取るフェイズと配当金を支払うフェイズの間に、プレイヤー間で事業タイルを売買する、名付けて秘密取引フェイズが挟まります。
自分と任意の他のプレイヤーが同じ種類の事業タイルを持っていれば、そのタイルに関して取引を投げかけることができます。
「俺も食糧事業タイル持ってんだけどさあ、あんたの食糧事業タイル1枚くれないかなあ」
で、取引を仕掛けた側は、その事業タイルを買うために出してもいいと思っている金額を財布に入れ、取引相手に渡します。
ちなみに持っている現金は衝立の裏、非公開情報です。
で、財布を受け取った側には2つの選択肢があります。
①財布の中身を受け取り、事業タイルを相手に渡す。
②財布の中に入っていた金額と同額の現金を財布に入れて相手に返し、相手の事業タイルを1枚受け取る。
書いてて胃が痛くなってきた…。
ゲムマ2016春で話題になった同人ゲーム・『チネチッタ1937』でも似たようなシステムが採用されていたのですが、なんかさらに元ネタがあったりするのかしら。
ターンの頭に事業タイルを受け取れると言いましたが、同じ種類の事業タイルを3枚以上持っている場合、それ以上同じものを受け取ることはできません。
そして、得点計算では、同じ種類の事業タイルを持っていれば持っている程高得点…
そう。同じ種類の事業タイル4枚目以降は、この秘密取引で手に入れるしかないのです。
ここの値付けが本当に重要。
現金を持っていそうな相手に、ちょっと強気な値段設定で攻めてみたり。
配当金の支払いがヤバそうな相手から、事業タイルを安く買い叩いてみたり。
言葉がなくても、こんなにピりついた交渉ってできるもんなんだなあと感心します。
1月の北九州ボードゲーム交流会にてteniさんにオススメをいただき、FANGさん、Volefanさん、ヒロさん、ふさちゃんと5人で遊ばせてもらいました。
序盤はVolefanさんが潤沢に出資を募り、事業タイルをぞろぞろ並べる展開。
しかし資金繰りが苦しそうで失速。そこをFANGさんとぬんが買い叩き、タイルを集めていきます。
出資者カード置き場に赤いカードが5枚以上並ぶと、大恐慌が起きるぞ。
2ターン先の配当金まで支払わなければならないだけでなく、最も枚数の多い種類の事業タイルを1枚失います。
阿鼻叫喚する面々。
終盤。やっとこさ108ドルの支払いを終えたところに、63ドルの支払いが待ち受けている辛い場面。
資金繰りが苦しいと睨まれたのか、ヒロさんから15ドル、ふさちゃんから15ドルでそれぞれ交渉を持ちかけられましたが、ぬんの相場観から行けばギリギリ払えるレベル。
どっちも買ってやったぜ。ふっへっへ。
これで断トツのトップに。破産しなければ1位は確実!
Volefanさんが200ドル超の支払いを控え、このラウンドでの破産は確実だろうというムード。
86ドルの支払いを控えていたぬん、だが手元の現金は79ドル…
(南無三、ここまでか…)と思ったところに、
Volefanさん「はい、ぬんさん」
Volefanさんから財布が回ってきたぞ!?中身は!?30ドル!?売る売る~~~!!
というわけで、なんとか現金の工面に成功。
Volefanさんめちゃくちゃ現金持ってて実はまだ破産しない説もあったのですが、どうやらぬんのタイルを買いに来たのは完全に最後の気まぐれだったらしく、予想通りに破産。
最後の配当金の支払いを滞りなく済ませたぬんは、12点分の事業タイルを持って、無事ポンジさんになることができました(違う
いやはや辛いゲームでした。プレイヤー全員顔が死んでた。
でもこのジリジリ感というか、胃に辛さがこびり付く感じは、他のゲームではなかなか体験できないんじゃないかしら。
メンバーにも左右されそうですし、合う合わないがはっきりでそうなゲームではありますが、なんかこう、エグめのゲームがお好きな方には是非試してほしい一品です。
というわけで、『ポンジスキーム』の紹介でした!
ちなみにチャールズ・ポンジさん、出所後も数度の詐欺を働き、実質的にアメリカ市民権を剥奪されると、1934年に出身国のイタリアに戻り、さらに第二次世界大戦が勃発するとブラジルに渡っています。
その後は心臓発作や脳障害、視力障害などに苦しみ、晩年はほとんど失明同然だったとのこと。
1949年、貧しいままリオデジャネイロ市内の慈善病院で没したと、ここまで全部Wikipediaに書いてありました。
悪いことはできないものですね。
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