みなさんキャッチーですか。ぬんです。











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『パンデミック:レガシー シーズン1』



「カードを破いたりボードにシールを貼ったりする!」

「1回しか遊べない!」

「絶対ネタバレ厳禁!」

といった触れ込みで、ゲーマー達の常識を打ち砕いたこのタイトルの成功により、”レガシーシステム”という単語は世界中に知れ渡ることとなりました。


以降、”レガシーシステム”ないしそれに類する不可逆性を取り入れたタイトルが複数リリースされ、昨今のボードゲーム界における大きなムーブメントの1つとなりつつあります。








さて、そんな”レガシーシステム”に、あの男が挑戦状を叩きつけます。

そうだね。フリードマン・フリーゼだね。



”F”
”緑”に異常なまでのこだわりを見せ、タイトルがFから始まって箱が緑色だったらほぼ100%この人の作品。

奇妙なテーマと不可思議なシステムをハイブリッドするそのスタイルから、付いたあだ名が”変態””怪人”という、非常にキャッチーなデザイナーです。






そんなフリーゼが、今話題の”レガシーシステム”をじっくりことこと料理した模様。

一体何がどうなってしまうのでしょうか…。










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というわけで、フリードマン・フリーゼ作・Fabled Fruit』です。ドイツ語題はFabelsaft』













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ゲームの舞台は、おいしい果物がたくさん実るキャッチーな森。

プレイヤーはこの森に住む動物になり、住人たちの助けを借りながら果物を手に入れていきます。

集めた果物を絞って、夢のように美味しいジュースを作りましょう。













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さて、『パンデミック:レガシー』が通常の『パンデミック』のゲームを最低12回繰り返すように、『Fabled Fruit』では同じ(でも変化していく)ゲームを最低20回プレイすることになります。

繰り返すゲームは、協力型ではなく順位を競うタイプの、非常にシンプルなセットコレクション。大体1プレイ20~30分ぐらいかな。











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手番には、自分の動物コマをアクションの書かれたカード(=ロケーションカード)へと移動させ、そこに書かれたアクションを実行するだけ。











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アクションを駆使して、果物カードを集めていくぞ。














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さて、ここからが大切なところ。


ロケーションカードへと移動した際、そのカードが要求する種類と数の果物を持っていれば、アクションを実行する代わりにジュースを作ることができます。











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この時、作成したジュースとして、そのロケーションカードそのものを1枚受け取ります。









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受け取ったロケーションカードを裏向きにして自分の前に置くと、ジュースになったぞ。













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さらに、ロケーションカードが1枚ジュースになる度に、全59種240枚、プエルトリコよりも厚いこのロケーションカードの山札から、新たなロケーションカードが1枚登場します。


これによって、新たなアクションが選べるようになったり、新たなジュースが作れるようになったり、場合によっては新たなルールやコンポーネントが追加されたりするという寸法。












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ロケーションカードが1種類増えたり減ったりするだけで、プレイ感が静かに、しかし確かに移り変わっていきます。

その変化を楽しみつつ、いずれかのプレイヤーが既定数のジュースを集めると、そのラウンドでゲームが終了。最も多くのジュースを作ったプレイヤーの勝利です。




ゲーム終了時に場に並んでいるロケーションカードはそのまま保存され、次のプレイの開始時に同じように並べられることになります。

一方で、一度ジュースになったロケーションカードは二度と使われることはありません。

















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なんせ元々が軽めのセットコレクションなので、「めっっちゃ面白い!」って感じではないんですが…

う~~んなんだろうな、「興味深い」とか「感心する」とかそんな表現になるかしら。




新たなロケーションカードがめくられた2、3ターン後、プレイ感の変化を肌で感じてプレイヤー同士でニヤッと笑う。

どんなカードが用意されているんだろうと続きが気になる。

遊んだ直後はそうでもなくても、翌日気が付けば『Fabled Fruit』のことばかり考えている。




重厚なストーリーなんかなくても、ゲームのシステムやアクションの変化だけでこんなに切ない気持ちにさせてくれるのは、流石フリーゼといったところでしょうか。





1回のプレイ時間が20~30分と短い
のも好印象。

平日の夜でもちゃちゃっと遊べちゃいますし、「続きが気になる~~」という感情が爆発しそうな時も、「じゃあもう1プレイする?」と気軽に言えちゃう短さです。














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さて、フリーゼが”レガシーシステム”をどのように見つめてこの『Fabled Fruit』を作ったのかは分かりませんが、「これ意図的に『パンデミック:レガシー』と真逆にデザインしてるよね?」と感じさせるポイントが1つあります。



『Fabled Fruit』と『パンデミック:レガシー』両方のネタを明かしてしまわないように大胆な記述は避けますが、個人的に面白いなと思った両者の明らかな違いについて、紹介させてください。











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『パンデミック:レガシー』において、ネタバレは罪でした。



ゲームの進行を司る山札の底にはカッティングカードが配されており、うっかり山札の中身を見ちゃわないよう対策がなされている。

ゲーム開始時には開封が禁じられているブラックボックスが入っており、最後まで遊ばないとその全容を確認することができない。



とにかく徹底した作りです。















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一方でこの『Fabled Fruit』ですが、ゲームの進行を司るロケーションカードの山札は、毎回全部取り出してテーブルの中央にどーんと重ねておきます。










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山札の高さが尋常じゃないので、いくつかの小さな山に分けて箱に片づけることになるんですけど…










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何も考えずに山札を分けると、まだ出会っていないカードが見たくなくても見えちゃうんですよねこれ。










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もっと言えば、『Fabled Fruit』には全59種のロケーションカードについて説明してある解説集が付いていてですね、「新しいロケーションカードが登場する度に解説集を開いて、そのカードについての説明を読め」みたいな作りになってるんですが…









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カード1枚ごとか、せめて数枚ごととかにページを変えてくれるならまだしも、これ全4ページしかないんですよ。

まだ出てきていないカードの説明が、同じページに思いっきり書いてあるんですよね。ご丁寧にプレイの例の図まで付けて。


しかも、このゲームのクライマックス、59種類目のロケーションカードの説明が、なんと解説集の裏表紙に普通に書いてあるんですよ。なんで???

いつうっかり見ちゃってもおかしくないようなデザイン。


追加のコンポーネントだって、ブラックボックスなんて洒落たものには入っておらず、最初から普通に箱の中に入っていて、「登場したら使ってね~」ぐらいのテンションです。











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そう。

『Fabled Fruit』からは、ネタバレに対する配慮がほぼなされていない、っていうか
なんなら意図的にその辺軽視してるんじゃねえのこれって感じの印象を受けるのですよ。







「何がネタバレ厳禁だよ俺たちが作ってるのはボードゲームだぞ」
という"レガシーシステム"に向けたフリーゼなりのアンチテーゼなのかも知れませんし、はたまたフリーゼが本当にその辺にめちゃくちゃ無頓着な人間である可能性もないではないのですが…。


いずれにしても、頑張ってあらゆる写真にモザイクをかけた私の身にもなってほしいです。












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というわけで、『Fabled Fruit』の紹介でした!



待ってればそのうち日本語版が出そうな気もしますが、善は急げってことで英語版でプレイ中です。

カードテキストも解説集も比較的易しい英語で書かれてますので、気になる方は手を出してみてはいかがでしょうか!