みなさんキャッチーですか。ぬんです。


















ボードゲームを評するときに、私は"辛い""胃に重たい"という言葉を、割と好んで使います。

もちろんどちらも褒め言葉だ。







ボードゲームのどこに喜びや楽しさを見出して遊んでいるかは、人それぞれ違うかと思いますが…

私がボードゲームを遊ぶ理由として、"日常生活で使わない頭の使い方ができるから楽しい"、的な部分って少なからずあってですね。

で、日常生活で使わない頭の使い方をした結果生まれる感情が、"辛い"だったり"胃に重たい"だったりするわけですな。






適当書いてるので明日には違うことを言っているかもしれませんが、とにかく"辛い"も"胃に重たい"も超褒め言葉です。















さて今日は、どこまでも"辛い"!そして"胃に重たい"!こんな素敵なゲームのご紹介だぞ!!











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『アナクロニー』
です。

『トリカーリオン』で一世を風靡した、Mindclash Gamesの2017年作品。













舞台は、荒廃した感じの26世紀の地球。

そして迫りくる隕石!!(唐突)

自身の勢力の生き残りをかけて、勝利点をゴリゴリ稼いでいきましょう。















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基本的にはワーカープレイスメントです。

"科学者"、"エンジニア"、"外交官"の3種類に加えて、オールマイティに使用できる"天才"というワーカーもいるぞ。









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ゲーム開始時からそこそこ人数います。










これらのワーカーを手番ごとに1人ずつ働かせて、資源を得たり、得た資源で建物を建てたり、建てた建物の効果を使用しながら有利に事を運んでいったり…的な、よく見るタイプのワーカープレイスメントです。ベース部分はな。







本番はここから。『アナクロニー』のキャッチーポイント、4点ご紹介していくぞ。













さてこの『アナクロニ―』、舞台は荒廃した未来の地球、というお話をしました。


どのくらい荒廃しているかと言えば、大気汚染とか放射能とかのアレで、もう生身の人間は外を歩けないレベルです。コワイネ。





じゃあ自勢力のシェルターに引きこもって生活してればいいじゃんね~~っていう発想に至ってしまいそうなのですが、そうは問屋が卸しません。

先述の、資源を獲得したり、建物を建てたりするために、ワーカーを派遣しなければならないアクションスペース!








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なんと屋外にあります♨




じゃあ外に出るためにはどうすればいいって言うのよ!






ここでキャッチーポイントその1!エグゾスーツが大活躍!








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生身がダメなら…








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エグゾスーツを着ればいいじゃない!!











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というわけで、ワーカーをこのゴリッゴリのミニチュアにサクっと挿して、










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外にお出かけすることができます。かわいい。










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これで資源をゲットしたり、建物を建てたりできますね。

















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しかしこのエグゾスーツ、使うためには充電が必要です。


例えば、このラウンド、屋外で4回アクションをしたければ、4体の充電済みエグゾスーツが必要になるわけで。

で、何体のエグゾスーツを充電するかは、そのラウンドの頭、実際にワーカーを置き始める前に決めちゃわないといけないのですよ。













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エグゾスーツは3体までならノーコストで充電できますが、4体目以降の充電には、"エネルギーコア"と呼ばれる資源が必要となります。











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さらに、充電するエグゾスーツが少なければ少ない程、この荒廃した世界では非常に貴重な資源、その名も"水"をたくさん手に入れることができますよと。











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コストを払って、手に入るはずの水も諦めて充電したのに、空いているアクションスペースが無かっただとか、ワーカーが足りなかっただとかで、そのラウンドで使用できなかった哀れなエグゾスーツ…。



しょうがないから次のラウンドに持ち越す…なんて都合のいいことはできません♨

ラウンド終了時にプシューと充電が切れます。辛い。胃に重たい。










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必要なのは、先の先まで見通す戦・略・眼!

これを、「エグゾスーツの充電」という要素で華麗に表現してるところがキャッチー。












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ちなみにこのエグゾスーツのミニチュアは、『エグゾスーツコマンダーパック』という、別売りの拡張に入ってます。









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基本セットだとこうだったものが…









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『エグゾスーツコマンダーパック』を入れるとこう。





買うしかないじゃんこんなん!!
ズルい。
















さて。

先程ちらっと"水"の話が出てきました。

欲しいですよね水。喉乾きますよね。





ここでキャッチーポイントその2!"水"が全然足りない!












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屋外で屋内で、一生懸命働いてくれたワーカーさん達。

彼ら彼女らはほとんどの場合、ラウンド終了時にすごく疲れた状態で帰ってきます。

次のラウンドも頑張って働いてもらうためには、何かしらのリフレッシュが必要なわけで。









そこで、疲れたワーカーを復活させるための方法として、以下の2種類があります。








1つ目!"水"をあげて優しく復活させる!






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個人ボードの下の方に、"モラルトラック"と呼ばれるトラックがあります。










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自分の手番にワーカーを1人使って、このモラルトラックで示されただけの"水"を支払うと…










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「僕たち、私たち疲れてます」列
にいるワーカー全員が、











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「僕たち、私たちまだまだいけます」列へと移動します。やったね!










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あなたは良き指導者ですよんってことで、モラルゲージが1上昇!

ゲーム終了時にモラルゲージの進みっぷりに応じて勝利点がもらえるのですが、モラルゲージが上がれば上がるほど、ワーカーを復活させる際に要求される"水"の量は多くなっていきます。

良き指導者ってのも楽ではありません。











ところでこの"水"という資源、結構色んな場面で、結構たくさん使います。







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例えば、特定のアクションスペースに入りたいとき。







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例えば、自分の領地内に建物を建てたいとき。




毎度毎度ワーカーを起こすためだけに"水"を使っていたのでは、他の部分で話が全く進まなくなってしまうのです。












そこでワーカー達を復活させるための方法2つ目。無理やり働かせます♨






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水を全く支払わずに、ワーカー共に「僕たち、私たちまだまだいけます」と言わせます。
コワイネ。









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ただし、良くない指導者だよあんたはってことで、モラルゲージが1減少。当然の報いです。








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モラルゲージが下がると、ゲーム終了時に勝利点が減点されてしまう他、最もモラルゲージが低い状態でさらにワーカーを強制労働させると、ワーカーが1人死にます♨










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この辺の、ワーカーをアクティブにする方法がブラックなテイストで2択用意されている感じは、Stonemaier Gamesの『Euphoria』を彷彿とさせますな。やっぱり未来ってそうなのかしら。









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というわけで、"水"のやり繰りに苦労させられますってお話です。辛い。胃に重たい。

"水"を齎してくれる建物を序盤に確保できてると楽、かも。
















さてさて、これまた突然のとんでも設定で申し訳ないのですが、『アナクロニ―』の世界、すなわち未来の地球では、軽い時間旅行ができます♨

時を跨ぐ力を齎してくれる超物質が見つかった、という設定の様子。




ここでキャッチーポイントその3!未来の自分から投資が受けられる!











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ラウンド頭、エグゾスーツの充電が終わり、さあワーカーを使ってアクションを始めようかねというそのタイミングで、なんと未来の自分から投資を受けることができます。

受け取ることができるのは、資源や水の類だけでなく、「僕たち、私たちまだまだいけます」状態の各種ワーカーや、なんと充電済みのエグゾスーツまで。











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受け取りたいものが描かれている"ワープタイル"を0~2枚握りこんで、せーので公開。










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即座に、ご希望の品を受け取ることができます。











さて、未来の自分から投資を受ける、ということはどういうことか。

それは、未来の然るべき時点で過去の自分へと投資を送らなければ、タイムパラドックスが生じてしまう、ということです。







お昼の12時。

A君は、3時間後の自分、すなわち15時のA君から、おやつのケーキを受け取りました。

まあもらったケーキをおいしく食べたとしましょう。



3時間後の15時。お母さんがA君に、おやつのケーキを出してくれました!

しかし、A君はこれを食べることができません。

何故なら15時のA君が取るべき行動は、12時、すなわち3時間前の自分に、ケーキを渡すことだからです。


そうじゃないと矛盾しちゃうじゃん???










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過去の自分に対する投資を解決しないまま放置しておくと、すなわち、「このケーキは俺のものだ」と15時のA君がケーキを食べてしまったりすると、"パラドックストークン"という形で、こう、徐々に歴史に歪みが生じていきます。











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そして3個目の"パラドックストークン"が自分の手元に来てしまったとき、ゲーム終了時にマイナス点となる上に、建物を建てられる個数も減ってしまうという、恐ろしいペナルティタイルを受け取らなければなりません。













じゃあどうすればパラドックスを解消できるんだ!





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とここで登場するのが、黄色い建物です。













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黄色い建物を使うと、過去の時代(ラウンド)へと焦点を合わせることができます。










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で、その時代に過去の自分が未来の自分から受けた投資を、今度は未来の自分が過去の自分へと渡してあげることができるんですな。書いてて訳わかんなくなってきたぞ。

まあ要するに、A君がケーキを12時の自分へと送ることができますよ、っていう話です。













この時過去の自分へと送るものは、当然過去の自分が未来の自分から受け取ったものと、まったく同じもの、まったく同じ状態でなければなりません。



紫色の資源を借りたなら、紫色の資源を、

「僕たち、私たちまだまだいけます」状態のエンジニアを借りたなら、「僕たち、私たちまだまだいけます」状態のエンジニアを、

充電済みのエグゾスーツを借りたなら、充電済みのエグゾスーツを、



きちんと過去の自分に渡してあげてください。辛い。胃に重たい。












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ただしこの過去への投資の受け渡し、完全に損という訳でもなくて、上手に時間をコントロールできたね~~的なご褒美ということで、ゲーム終了時に追加の勝利点がもらえます。





借金して、同じ額を返済するだけで、追加の勝利点がもらえる。



こんな美味しい話がありますか!!さあどんどん未来の自分から借金するのです!!ケーキおいしい!!ケーキおいしい!!

…とかやってると、パラドックスに身を引き裂かれることになってしまいます。ご利用は計画的に。
















さて、地球に隕石が迫っている、という話は冒頭でしたかと思うのですが、この隕石、ゲーム中に実際に地球に衝突してしまいます。








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具体的には、ちょうど第4ラウンドが終わった辺りで衝突します♨




というわけで、キャッチーポイントその4!隕石衝突から一気にクライマックスへ!






隕石が衝突した影響で、地球に様々な異変が起こります。

この異変はルールすらも捻じ曲げ、第4ラウンドまでと第5ラウンド以降では、ガラっとプレイ感が異なります。












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まずはですね、メインボードの真ん中にあるこのちょっと悪趣味なモニュメントが、












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燃え盛ります。



以降ここは、各プレイヤーが1ゲーム中に一度だけ踏めるアクションスペースとなります。













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踏む条件は、ゲーム開始時に決められた条件を満たしていること。

例えば、灰色の建物を3つ建てること、みたいな。










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自分の手番に、エグゾスーツを着用したワーカーを悪趣味なモニュメントにシュート!!!











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勝利点がもらえる他、踏んだタイミングで特定の種類の資源やワーカーを複数持っていれば、追加の勝利点を得ることができます。











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このアクションスペースは、1ラウンドに何人でも入れるぞ~~






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ただし、最後の1人は、もらえる勝利点がマイナス3点されてしまって、ちょっぴり損です。競争感。















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さらに、エグゾスーツの充電器が2台壊れます。









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使えるエグゾスーツの最大値が6体から4体に。

さらに、2体目以降の充電から"エネルギーコア"の支払いが求められ、もらえる"水"も少なくなってしまいます。











そして、惑星衝突による最大の変更点。

それがこれだ!!








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屋外のアクションスペースが、めっちゃ強くなる代わりにあと1回ずつしか使えなくなります。












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もうそのスペースに残されているエネルギーやら何やらを全部使い切っちゃって、めちゃくちゃ強いアクションを1回した後、






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ずらかっちゃうようなイメージだ。











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7ラウンド目の終わりにゲーム終了。

もしくは、屋外のメインどころのアクションスペースがすべて使用不可になったら、そのラウンドの終わりでゲーム終了だ。











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得点計算をして、最も勝利点の高いプレイヤーの勝利!















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もう基本的にずっと辛くて胃に重たいんですよ。

やること自体はシンプルなんだけど、1手を打つのにすごく時間がかかる感じ。

でもじっとりと、しっかりと、自分の基盤を整えていく!

で、建物が数揃ってくると、やっと拡大再生産感が出てくる…!











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そして落ちる隕石♨



地味な印象のゲームだったのが、ここからスイッチをパチッと切り替えたかのごとく、アグレッシブになっていきます。

ド派手な一発を打ち上げては、どんどん使えなくなっていくアクションスペース。

手元の資源やワーカー数と相談しながら、そして他プレイヤーの動向に目を配りながら、打てる最善の一手をはいドン!


たまりません。辛くて、胃に重たいまま、なんかトータルのテンションが高くなっていくという。










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ゲーム終了タイミングを調整できるのもかなりアツいです。

ポイントサラダっぽい作りなので、勝ってるか負けてるかを雰囲気で判断しながら、ラスト1個のアクションスペースを踏むタイミングを決めなければなりません。














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インスト1時間強、実プレイは3時間前後かな。


本当に辛くて、ずっと胃に重たくて、終わった後は「向こう2~3ヶ月ぐらいは遊ばなくていいかな…」と冗談めかして言ってみるのですが…

2、3日後には「あれ???アナクロニーやりたくない???」とかツイートする羽目になる、とてもキャッチーなゲームです。




こんな重い想い、ボードゲームでなければ、他に何で味わえると言うのでしょうか。

















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というわけで、『アナクロニ―』のご紹介でした!

これミニチュア塗りたい気持ちもありつつ、大きさに圧倒されたまま時が流れている…

『SCYTHE』サイズであっぷあっぷだったもんなあ…