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昔むかし、具体的には300年ぐらいむかし、北米での支配を拡大しようと争った、2つの国があったそうな…






♪デュクデュクデュクデュク…




イギリス:
YO!拡大したい 北米の農地
バッチリしとけ 増税の用意
イギリスの時代 終わんない
ケベック落として地獄に ご案内



フランス:
ハァ?かすりもしないぜ 下手な攻撃
俺はしたいのさ 毛皮交易
インディアンと俺 繋ぐ道
歴史にページ追加だ プラスいち



オーディエンス:
FOOOOOOOOOOOOOO!!!!




MC:
ジャッジ!!お願いします!!勝者は…
イギリス!!!クリティカル!!!






イギリス:
勝ったわ~~フランスが大事にしてたケベック落としたったわ~~



フランス:
ふ、ふんだ!もういいもん!ケベックなんて大した事ないし!あんなのただ雪まみれなだけの土地やし!


フランス:
ケベックなんて…ケベックなんて……


















フランス:
ほんの数エーカーの雪に過ぎないし!



















はい。



というわけで、みなさんキャッチーですか。ぬんです。

まずはその冷たい視線をポケットにしまってください。危うく致命傷です。








どのタイミングで書くか結構迷った挙げ句このタイミングで書くのですが、この記事は『ボドゲ紹介 Advent Calendar 2018』19日目の記事です。


主催はぐらちゃんだ~お疲れ! 2016年から参加させていただいていて、気づけば3年目になりました。

昨日の担当はかーんさん。胡椒袋買います。来年こそはお会いしてみたいと思っていますが、なんだかんだでまた会えずに終わりそうな気がして面白いです。










さて、私も歴史には疎い方なのでアレなのですが、17世紀~18世紀にかけて、まあ多少の脚色はあれど、概ね、上記のような出来事が起こったと。ね。


今日は、そんな史実を再現した、こんなゲームをご紹介したいと思います。寒い季節にもピッタリですし。













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『数エーカーの雪』です。2011年、2人用、60~120分。

デザイナーは、今年『ブラス』のリメイクで脚光を浴びたマーティン・ワレスです。









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ざっくり言ってしまえば、デッキ構築 meets ウォーゲームと言った趣です。

プレイヤーのうち片方がイギリスを、もう片方がフランスを担当し、それぞれ構成の異なるデッキをいじくりながら、ボード上に自分の駒を配置していって戦争ごっこをやると。ふむふむ。





ゲームの終了条件&勝利条件もいくつかに分岐するのですが、ざっくり


①相手の主要地域を落とす即勝利

②いずれかのプレイヤーのなんらかの駒が、尽きたり、すごく相手に取られたりする勝利点計算


みたいな感じです。大体②で終わりがち。









こう、エッセンスだけをピックアップすればあっさりしたものなのですが、実はこの『数エーカーの雪』、今年に入って初めてプレイした中で、私がぶっちぎりで一番好きなタイトルです。


では、このゲームの何が私をそこまで夢中にさせたのか。キャッチーポイント3点ご紹介ヒアウィーゴー。


















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『数エーカーの雪』は、ボードのあるデッキ構築です。


いいですよね、ボードのあるデッキ構築。私の中では、ランチセットのあるラーメン屋さんとか、暗い過去のあるお調子者キャラと同じカテゴライズです。

一昨年~昨年ぐらいまでの該当作を振り返ってみると、『クランク!』や『エルドラド』『グレート・ウエスタン・トレイル』と言ったキャッチーなタイトルが並ぶわけですが…




このデッキ構築とボードとの関係性に、『数エーカーの雪』が特別なゲームたる所以が隠されています。








キャッチーポイントその1!ボードいじりはデッキいじり!


なんかよく分からない格言みたいになってしまった。







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ボード上には「地域」と呼ばれるたくさんのマスが描かれており、自分の駒を置くことによって、その地域を支配することができます。









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では試しに、このFort St.Johnという地域に、カードを使って新しく駒を置いてみることにしましょう。








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今回はFort St.Johnのお隣であるTrois Rivieresから出発するぞ!

ということで、手札からTrois Rivieresの地域カードをプレイ!









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移動には川舟が必要みたいだから、手札からTadoussacの地域カードを川舟として使うぞ!








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やったー!Fort St.Johnについたー!





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そして、Fort St.Johnを支配したことで、Fort St.Johnの地域カードを新たにゲットしたぞ!

とこういう感じです(デッキ構築のお約束通り、新たに獲得したカードは直接手札に加えたりはせず、捨て札置き場に置かれます)。












…このシステム楽しくないですか???(数エーカーの語彙力)



いや、なんか「ほんのちょっと」ぐらいの意味で使っちゃいましたけど、数エーカーってめっちゃ広いですよね。東京ドームの面積が3エーカーちょいとかみたいだから。











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注目していただきたいのは、Trois Rivieresの地域カードにも川舟アイコンが描かれているにもかかわらず、わざわざTadoussacという別の地域カードを川舟として使っているところ。


1枚のカードに複数の機能を持たせつつ、使う時にはその中から1種類を選ばせるこのシステムは、カードドリブンシステムと呼ばれます。濁点が多くてなんだか強そうですね。カードドリブン。

ウォーゲーム発で、近年ではユーロゲームでもよく見られるシステムですが、殊『数エーカーの雪』に関しては、これは出発地用!これは移動手段用!ってカードを出していくのが、なんか直感的?な感じがするのもお気に入りです。










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そして、新たな地域を支配した結果、その地域のカードが手に入る。

この地域カードがリシャッフルして手札に入ってくれば…?

こいつを出発地にして、さらに奥の地域へと侵略できるとこういう寸法ですよ!最高!


もちろん移動手段や各種アイコンとしても使用することができますし、中には何の機能も持たない、お荷物にしかならない地域カードもあったり。









まさか駒を1個置くぐらいのことで、デッキ構築特有のあのカード増やしたい/増やしたくない的なジレンマが堪能できるとは思わないじゃないですか。


なんかもう…本当に、もう……好き!楽しい!としか言いようのないものが、ルールブックのこの部分を説明したページには詰まっていて、私の心は数万エーカーの喜びでいっぱいになります。





















さて、戦争といえば、ドーンとやってバーンとやって大騒ぎするんでしょ、みたいな。

あっちこっちでドンパチやっちゃうんでしょ、みたいな。

そんな感じのイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。






ここでキャッチーポイントその②!地味でジリジリした展開!









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上述の感じで、序盤はどんどん支配地域が増えていくわけですが、戦いはどこかで必ずにらみ合いの様相を呈します。

「なんか……近くね……?」とお互いの距離感に戸惑う英仏。思春期かな?




相手、攻めてくるかな~~…来ないかな~~…ってな具合に、前線をちょろちょろと上下させる地味な展開。

劣勢にある方がいずれは大きく攻めに転じなければならなくなるのですが、いざ戦闘を仕掛けてみると、始まるのは自分の手番にだけ少しずつ力を入れられる綱引きみたいなやつです。







ウォーゲームでは一般的な光景なのかも知れませんが、普段は元気いっぱいのボードゲームにばかり触れている私から見れば、このプレイ感はなかなかに衝撃的でした。

お互いに毎ターン必死で戦力(移動手段と同様アイコンのついたカードをプレイします)を注ぎ込んでいるのに、盤面がピクリとも動かない。まあお互いに注ぎ込んでいるからこそ動かないんですけど。








でも、史実として起こった実際の戦いも、お互いの戦力差が顕著じゃなければ、きっとこんな感じのジリジリっぷりだったのかなあと思うと、なんかこう、血がたぎるような感じがするわけですよ(過激派)

ロマンですね。









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システム的なことを言えば、戦闘に注ぎ込んだカードは、戦闘が終了するまではデッキ構築のサイクルから除外される形になるため、一時的なデッキ圧縮の効果もあったりするのが面白いところです。

この辺の感じは実際にプレイしてみて味わって欲しいぞ。薄くなってガンガン回るデッキと、どんどん不足してくる戦力に、めちゃくちゃ興奮します。



















そして、『数エーカーの雪』の一番最高なところ!



キャッチーポイントその③!ずっと遊べる!




とにかく選択肢が多くて、初めて遊ぶ際には一手目から戸惑うことになるかと思います。

私はこの前、通算6回目となるプレイ時にも一手目から戸惑いました♨









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ルールブックに書いてある、手番に取れるアクションは全部で21種類


さらに、先述の地域カードの他に帝国カードなんてのもあって、こちらは一般的なデッキ構築の「お買い物」に近いと言うか、サプライの中から好きなものを選んで買っていいよみたいなやつです。

共通のサプライに3種類と、イギリスだけが買えるもの、フランスだけが買えるものがそれぞれ約20種類ずつ。


もちろんイギリスとフランスで取るべき戦力・方針も異なりますし、勝利条件にまで分岐があります。


このゲームのすべての要素を咀嚼して自分の物にするのは、相当なプレイ回数の積み重ねが必要です。降る雪が少しずつ積もって、やがて大雪原になるように。










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こう書いちゃうと「複雑そう…」と身構えてしまうかも知れませんが、要素が盛り盛り、だとか、人間の脳みその限界を超えている、だとか、そういう印象は全然ないです。

手札に特定のカードがなければできないアクションが結構あるので、実際に取れるアクションは数種類程度に落ち着きますし、繰り返し遊んでいるうちに、なんとなく自分の中での「こうした方が良いのでは」ができてきます。


ただ…なんだろう。その「こうした方が良いのでは」が正しいかどうかに全然自信が持てないんですよね。

ずっと五里霧中。だからこそずっと夢中。

よく分かんないけど楽しい、ってめっちゃよくないですか。







そしてここに、デザイナーであるワレス自身ですら、

「このゲームめっちゃ遊んだけど、どういう戦略を取ればいいかまだ漠然とした意見しか持ってないから、適切なアドバイスとかできねえわ」

ってデザイナーノートに書いてるというオチが付きます。素直でかわいい。


















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テーマ的にピンと来づらい方が多いでしょうし、2~3時間級の2人用ゲームの立卓の難しさも想像に難くないところだとは思うのですが、とにかく色んな人に遊んでほしいし、色んな人と遊びたいと思える、本当に素敵なゲームです。

私はいつだってウェルカムなので、興味のある方は是非付き合ってくださいな。雪遊びしましょう。








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ちなみにワレスは今年、同じくカードドリブンウォーゲームライク非対称2人用デッキいじりゲーム、『リンカーン』を発表しています。

これまた一筋縄ではいかないシステムで、デッキ構築と言うよりはデッキ分解といった趣。

こちらも機会(と書いて「私のやる気」と読む)があればご紹介させてくださいな。
















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というわけで、『数エーカーの雪』のご紹介でした!




ボドゲ紹介Advent Calender 2018、明日の担当は我らがatsさんだよ!

キャッチーな記事期待しています