みなさんキャッチーですか。ぬんです。
みなさんはボブ・ロスをご存知でしょうか。
アメリカ出身の油彩画家。トレードマークはアフロ。
ボブが軽妙な語り口で技術を紹介しながら、30分の放送時間内に実際に作品を1つ描き上げるテレビ番組・『ボブの絵画教室』は、アメリカ国内で10年以上も続く人気番組になり、日本でもNHK-BSで放送されていました。
1995年に、52歳という若さでお亡くなりになっています。
彼の魅力を伝えようと思えば、口でどうこう説明するよりも、実際に『ボブの絵画教室』を1本見ていただいた方が早いかと思います。
・適当に筆を動かしてるだけかと思いきや、いつの間にか「写真かよ」ってぐらいの風景ができてる。
・せっかくできたその風景の上に、黒い絵の具で線を引き始める。「おいボブ何やってんだよ!」と思いながら見てると、その線もいつの間にか超カッコいい風景になってる。
・「ね、簡単でしょう?」「すーっ」「こうやって悪霊を追い払いましょう。私はこれが大好きなんですよ(濡れた筆をイーゼルの下の方でパタパタしながら)」等の、特徴的かつ優しく前向きなボブの語り口。
・例えば葉っぱをたくさん描く際等、同じ作業をひたすら繰り返す時には、その行程を見せずに最近触れ合った小動物の動画を流し始める。「私はこのリスに夢中になってしまいました」じゃねえよボブ。
・本当に30分で最高の風景画が描きあがる。
という、数々のお約束(と描いてネタと読む)を内包しつつ、見ていて全く飽きない構成で、めちゃくちゃクセになります。
現代で言えばアレでしょうか。「MOCO'S キッチン」みたいな感じでしょうか。違うか。
さて、ボードゲームブログであるところの『キャッチーでいてください。』が、何故油彩画家であるところのボブ・ロスの話をしているかと言えば、ボブの生誕75周年である2017年、なんとボブをモチーフにしたボードゲームがリリースされたのです。
今日はそいつをバシッとご紹介だ。
というわけで、『Bob Ross: Art of Chill Game』です。アフロが風景とドッキングしちゃってるよボブ。
2~4人用、12歳以上、30分。
プレイヤーは油彩画家となり、ボブの考案した技術を用いながら、特徴的な風景を描いていきます。
ちなみにボブもプレイヤー達と同時に同じ風景を描いているという、なんかもう夢小説みたいな設定があり、彼より早く風景を描き終えるとボーナスがあったりなかったり。
風景を描き終える度に、チルポイントと呼ばれる点数が貯まっていきます。
このチルは多分「チルアウト(Chill Out)」のチルですよね。落ち着くとか、実家のような安心感とか、そういうニュアンスでしょうか。
ヒップホップ界隈ではよく耳にするイメージですし、他にもクラブミュージックで踊り疲れた人々が、身体を休めようと、フロアとは別室で聴くスローテンポのサウンドが元となり、そのまま「チルアウト」という名称のジャンルとして成立していたりします。
美術に音楽にと節操のない感じですね今日は時間割かよ。
いずれかのプレイヤーが30チルポイントを獲得したら即座にゲーム終了。
そのプレイヤーが、最もチルい油彩画家ということで、勝利を収めます。
実際にやることはと言えば、AP(アクションポイント)制のセットコレクションみたいな感じでしょうか。
手番には3APが与えられて、
場から、絵の具として or ブラシとして使える道具カードをゲットして手札に加えたり、
手札の道具カードを絵の具として自分のパレットに出したり、
自分のパレットを洗ったり、
場の道具カードが気に入らなければリセットしたり、
手札の道具カードを消費してテクニックカードをゲットすることで技術を磨いたり、
パレットから指定された色の絵の具を、手札から指定されたブラシをプレイすることで風景を描いたりと、まあそんな感じです。ね、簡単でしょう?
かなり素直なシステムですな。
ポイントは、皆で(もちろんボブも含めて皆で)同じ絵を同時に描くことでしょうか。
各絵には、描くべき3つの風景があって、それぞれに必要な絵の具が2~4個と、必要なブラシ1個が指定されています。どの風景から描いてもOKよ!
各風景について、最も早く描き終えたプレイヤーには、追加のチルポイントが贈呈されるぞ。
ボブも、ダイスの結果によって気まぐれに絵を描き進めます。
風景によっては、ボブよりも先に描くと、追加のチルポイントが得られるものもあったりします。
そして何より恐ろしい点!
いずれかのプレイヤー、もしくはボブがその絵の3つの風景をすべて描ききると、その絵は完成されたものと見なされ、即座に次の絵が公開されるのです!
ボブの油絵はスピード勝負!
他のプレイヤーに負けないように、ちゃっちゃか仕上げていきましょう。
他に印象的なのは、もうとにかく優しくて温かいプレイ感。
減点を喰らう場面もなければ、他のプレイヤーの妨害をするのも難しく、風景を描ききってみると「おお意外と点数入るね」って感じでゆるゆるとチルポイントが貯まる。
みんなあと1歩で30チルポイントまでリーチできそう!という場面で、一歩抜きんでたプレイヤーが勝利する。
まるでボブの人柄を表しているかのようだよボブ。
テーマの再現度も高く、ボードゲームを普段遊ばない方にも出しやすいんじゃなかろうか。ボブ・ロスのことを知っていれば。
反対にゲーマー諸氏には少し物足りなく感じるかとは思いますが…
普段カッツカツだったりキッツキツだったり、どこかしら尖ったゲームを嗜む毎日で、そんな中出会ったこの圧倒的な実家に帰ってきました感は、なんか頬が緩んでしまうものがありました。
それこそ、クラブミュージックで踊り疲れた人々がチルアウトに身を委ねたように、時には肩肘張らず、このメロウな空気感に浸ってみるのも悪くないのではないでしょうか。
というわけで、『Bob Ross: Art of Chill Game』のご紹介でした!
チルカードと呼ばれる場に影響を与えるカードには、ボブの名言もしっかり掲載されてて楽しいです。チルい~~~
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