みなさんキャッチーですか。ぬんです。
2018年ドイツ年間ゲーム大賞(SdJ)および同エキスパート部門(KdJ)のノミネート作が発表されたのが5月14日。
ウォルーシュ氏の台頭が話題になったり、アークライト社のノミネート作の日本語版リリースアナウンスが相次いだりと、6月頭ぐらいまではお祭りムードに花が咲いていた印象です。
その後、『Welcome to…』のブームなんかも挟んで(そのうちブログ書きたい…)、話題に上る機会が少し減ったかなーという印象のSdJ/KdJノミネート作なのですが…
それぞれの大賞受賞作が発表されるのが!なんと!7月23日!
我々がBISで番地をコピーしてキャッキャしてる間に!もう発表が半月後かそこらに迫っている!「まだ意外と先じゃん」とか言ってはいけない!
大賞発表に向けてボルテージを上げていくために、というわけでもないのですが、今日は2018年SdJにノミネートされた、こんなタイトルのご紹介です。
『ルクソール(Luxor)』です!
2~4人用、8歳以上、45分。
デザイナーは『イスタンブール』や『ゴア』、『ベガス』、『カルバ』等でお馴染みドーン先生。
他の2018年SdJ/KdJノミネート作は、すべてウォルーシュ氏絡み(3作品)かキースリング氏絡み(2作品)なので、なんかこう、すごく応援したくなってしまう。
フレーバー的には、ファラオが眠る古代の寺院を探検!みたいな感じ。
冒険者たちは、寺院の最奥にあるファラオの墓室にいち早く辿り着こうと競い合います。
でも墓室へと向かう途中の通路にもお宝がボロボロ落ちてるもんだから、それを逃さず拾い集めることに専念してもいいかも知れません。
いいですねーこのワクワク感。
やること的には、カードを使ったすごろくって感じでしょうか。
手番には、手札からカードを1枚プレイ。
複数いる自分の探検家駒のうち1つを、カードの指示に従って移動させます。
んで、移動先のマスの効果によって、お宝が手に入ったり、強いカードが手に入ったり、より先まで進めたりとか、そんな感じ。
通算で2人目の冒険者が、最奥の墓室(すごろくで言うところの「あがり」でしょうか)へと辿り着いたら、全員が同じ回数ずつ手番をやるように調整してゲーム終了。
墓室に辿り着いた時に貰える石棺や、途中で拾ったお宝からの点数、
そして各冒険者について、どれだけ奥まで進むことができましたかボーナス的なやつを足し合わせて、最も高かったプレイヤーの勝利。
ここまでの説明だと、めちゃくちゃシンプルな印象を受けるんじゃないでしょうか。
ですが、そこはSdJノミネート作。一筋縄ではいきません。
ファラオの寺院の謎を紐解く『ルクソール』のキャッチーポイント!3点ご紹介だ。
キャッチーポイントその①!カードのプレイ制限がキャッチー!
冒険家駒を進めるためのカード。
手札として常時5枚持つことになるこのカード、手番には5枚のうちどれでも好きなものをプレイ…してはいけません。
自分の手番でプレイできるのは、一番右端のカードか、一番左端のカードのみ!
もちろん手札の並び替えも不可。
そして、手番終了時に補充したカード1枚は、手札のちょうど真ん中へと入ります。
2択しかないやんけ!!と怒るのではなく、自分でプランニングを立てて手札を回して行ってねとそういう寸法です。
強いカードを手に入れたとしても手札の真ん中に入ってしまうため、使用できるのは最速で3ターン後。む、難しい…!
手札の両端しかプレイできないゲームと言えば、シャハトのトリックテイキング・『にわとりも歩けば(Blinds Huhn)』を思い出します。あの絵が可愛いやつ。
あちらは1ラウンド分の手札が配られ、どういう順番で使い切るかを意識しながら運用していかなければならないわけですが、『ルクソール』はカードの補充が入るため、手札は毎ターン5枚で固定。短期計画をひたすら繰り返させる感じ。
楽しくもあり難しくもありでキャッチーです。
キャッチーポイントその②!お宝の入手方法がキャッチー!
寺院の各所にバラ撒かれたお宝。
よく見てみると、人型のアイコンが描かれています。
そう、お宝をゲットするためには、アイコンの数に等しい個数の自分の色の探検家駒が、そのお宝の上に乗っていなければならないのです!
もちろんお宝は早い者勝ちなので、
しめしめ…って思ってても、
こうなって、
こうなっちゃうと、
こうなっちゃうという。最高ですね。
ちなみにお宝はセットコレクション。3種類を1セットにして初めて点数が入ります。最高ですね。
ところでところで、デザイナーであるドーン先生の作品によく登場する、「ドーン歩き」という動きがあります。
1ヶ所に固まっている自分の駒をすべて持ち上げ、通過したマスに1個ずつ落としながら移動する、というもの。集まっているものを分散させるような感じ。
ところがどっこい『ルクソール』では、「ドーン歩き」とは反対に、散らばっている自分の駒を1ヶ所に集めることによって、お宝をゲットするわけですよ。
これは興味深いですぞドーン先生!
逆ドーン歩きですかドーン先生! 逆ドーン歩きってなんだよ。
キャッチーポイントその③!計算の狂わされっぷりがキャッチー!
キャッチーポイント①と②を掛け合わせたような話になるのですが…
いずれかのプレイヤーがお宝をゲットしたとしましょう。
タイルごとズルッと持ってっちゃうわけです。
じゃあその跡地は、どうなるかと言うと、別のタイルが置かれることもあれば、置かれないこともあります。
そしてもう1つ、カードを用いた移動の話。
移動時にはカードに書かれた数字に等しい歩数分、自分の探検家駒を動かすのですが…
この時、タイルの置かれていないマス目は、歩数としてカウントしません。
歩数=踏むタイル数、なのです。
以上の話を掛け合わせると、
「次の手番でこのカードをプレイすればあの場所まで行けるはず!」と意気込んでいたが、前の手番のプレイヤーがお宝を手に入れたことによって歩数が狂い、想定よりも1歩先のマスまで進んでしまう
ということが起こります。
こういうのですね、大好きですね。
寺院の探検なんてリスキーなものが!予定調和でちゃっちゃか終わってたまるもんですか!
せっかく立てた短期計画が、他のプレイヤーによって何の悪意もなく台無しにされちゃう感じがたまりません。
2018年SdJノミネート3作品を改めて見つめなおす会。
『アズール』はめちゃくちゃ面白いんですけど、例えばボードゲーム慣れしていない方と遊ぶには少しキツいというか、シビア過ぎる印象があって。
『ザ・マインド』は、あれこれとベーシックなボードゲームを遊んだ末に、「なんやこれ!」「こんなんアリかよ!」「でも面白いやんけ!」と衝撃を受けるタイプの代物だと思うんですよう。ミステリで言うところの叙述トリックモノみたいな。
そこにあってこの『ルクソール』は、ものすごく尖ったところはないけれど、「ワイ、ファミリーゲームやで!!!」という主張を全身でしてきてくれるのが、なんか遊んでてすごく安心したんですよ。
実家感というか。テーマも相まって、ボードゲームに触れ始めた頃のワクワク感を思い出させてくれるというか。
全然関係ないけど、クラマー&キースリングの『アドベンチャーランド』を初めて遊んだ時に、似たような安心感を覚えたのを思い出しました。
こういうゲーム達に定期的に出会っていきたいと思うよ。
奇しくもキースリング氏関連作品なわけですが、クラマー氏と組むとほっこりするようなゲームを作ってくれるので、私はクラキンが好き。
…と、ここまで持ち上げといて何なのですが、やっぱり大賞は『アズール』かなって感じです(マジか)
だってなんか!めっちゃ!ぽいじゃん!
ちなみにKdJは『ヘヴン&エール』が受賞して、「ウォルーシュがグイグイきてたけど結局キースリングの年だったね」ってブログに書く予定です。よろしくお願いします。
ドーン先生も、是非とも新技・逆ドーン歩きで対抗して欲しいところです。
というわけで、『ルクソール』のご紹介でした!
これプレイした後で箱絵見ると、「めっちゃいい…!」ってなります。
駒から見た視点で風景を縁取りつつ、墓室も3種のお宝もトンネルも鍵もアニュビス像も動物アイコンも、ゲーム中に登場する要素が大体描き込まれてあって最高です。超ワクワクする。
はいそこ「スカラベは???」とか言わない。
コメント