みなさんキャッチーですか。ぬんです。


















1740年。オーストリア継承戦争の火蓋が切って落とされました。

オーストリア大公の娘であるマリア・テレジアの家督相続に対し、女子の帝位継承を認めない周辺諸国が、「土地をくれ」だの「遺産の分け前をくれ」だの文句を言ってくる、という絵面です。






♪デュクデュクデュクデュク…


ルイ15世:
YO!女風情にゃ回せない政治
ここは絶対譲れないステージ
フランス meets バイエルンの猛攻
お前なんかにゃ言わせねえよどうこう



フリードリヒ:
レペゼン・プロイセン、フリードリヒ
ほら来たぜお前の首ぃ獲りに
南下する程ブチ上がるバイブス
今マリアに送り付ける大仏



マリア・テレジア:
うるさいワンちゃんよく吠える
私に踏まれたいわけ?僕ドM~~?
オーストリアの不落を誓い
ほら見せてあげるわよ格の違い







オーディエンス:FOOOOOOOOOO!!!!!!








早く来てほしいですね。ラップバトルで全部片が付く時代。来ねえよ。


というわけで(何がだ)、今日はオーストリア継承戦争をテーマにした、こんなゲームのご紹介です。

















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『マリア(Maria)』です。2~3人用、2~5時間。






一応2人用ルールも収録されていますが、実質3人用ゲームですね。

プレイヤーはそれぞれマリア・テレジアフリードリヒルイ15世という人物を演じ、熱いライムでオーディエンスを沸かす 影響下にある国々を操作していくことで、オーストリア継承戦争での勝利を目指します。














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勢力図的にはこんな感じ。

ルイ15世の操るフランス&バイエルンと、フリードリヒの操るプロイセン&ザクセンが同盟を組んでいます。

それに敵対するのが、マリアの操るオーストリアと……なんとフリードリヒの操る国事軍の同盟。




そう、フリードリヒは、プロイセンとしてオーストリアを叩く一方で、国事軍としてフランスを攻めるという、二重人格性を秘めたキャラクターということになります。もうフリードリヒ1/2です。水を被っても女になったりはしない。












さらにこの『マリア』の大きな特徴として、初級ゲーム上級ゲームという2つのルールが収録されています。

ベーシックなルールが学べる初級ゲームは約90分。

さらに複雑な諸要素を追加し、プレイに奥行きを齎す上級ゲームは約3~5時間。

もはや別ゲーである。






今日は「全員初プレイのメンツで、初級ゲーム1戦→上級ゲーム1戦を続けて遊ぶ」という贅沢な会を催しましたので、ルールの紹介も兼ねつつ、プレイログを書いていければと思います。















◆初級ゲーム


インストは1時間ぐらいかな。初級ゲームだけでもなかなかのルール量なので、1人1冊ルールブックを渡し、みっちりやりました。








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ボードが最高にクールなのですが、実は初級ゲームではボードの右半分のエリアしか使いません。マジか。

さらに、初級ゲームでは国事軍は登場しないため、フリードリヒの二重人格性もログアウトします。男溺泉(ナン・ニーチュアン)に入ったのでしょうか。


私はオーストリアを統べるマリア・テレジアを担当!頑張るわよ!!









勝利条件の確認から入ると、



ルイ15世:オーストリア領土にある要塞9ヶ所を占領すれば勝利。

フリードリヒ:オーストリア領土およびその北東のシュレージエン地区の要塞を、合計12ヶ所占領すれば勝利。

マリア・テレジア:9ターン目終了時点で、他のプレイヤーが誰も勝利していなければ勝利。






何この勝利条件アツくない??? 守りに徹しろってことね。やったるわい。













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やること的にはしっかりウォーゲーム。なのかな。

フランス&バイエルンの手番→プロイセン&ザクセンの手番→オーストリアの手番、で1ターンが終了。

手番は、自分の将軍や兵站部隊を移動させ、敵国の要塞を占領してみたり、戦闘を起こしてみたり、ってのが主になります。










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まずは部隊編成からということで、自分がコントロールする各将軍への部隊の割り振りからスタート。

手計算で紙に書く感じが、不便っちゃ不便なんですけど、アナログ感あって好きです。












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いよいよ試合開始!

我がオーストリア領土に向かって、西側から攻めてくるフランス&バイエルンと、北側から攻めてくるプロイセン&ザクセン。

マリアプレイヤーは基本的に1対多の構図になるので、根負けしないようにガッツを見せていきたいところ。







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ついにオーストリア西部で戦闘が勃発!

フランス&バイエルン軍が、オーストリアの将軍へと喧嘩を吹っかけます。

このとき大事になるのが、戦闘の参加者がいるエリアに描かれたスート。今回はダイヤね。










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戦闘は、ゲーム開始時に割り振った部隊数をベースに、このトランプを模した超クールなカードを手札からプレイしていく感じです。

この時出せるのは、戦闘が起きたエリアに描かれたスートのカードのみ!

なるほど、どこで戦闘を起こすかも重要なわけだ。




戦闘は、お互いの体力(=手札)を消耗しながら、どちらかが根負けするまで続く洗面器スタイル。

ちなみに手札は、プレイヤー毎ではなく、国毎で管理します。面白い。












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オーストリア西部、フランス&バイエルン軍はなんとか破ったものの、直後に北部から仕掛けられた戦闘では撤退を余儀なくされ、ちょっと領土が危うい感じに。

戦闘は、突っぱねて勝負に出るよりも、敢えて少ない被害での負けを選ぶのが強い場面も多かったです。












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フランス&バイエルンに北西部の要塞を明け渡しつつ、北部の動乱もなんとか抑えながら、やっとこさ3ターンが経過。









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3ターンが経過するたびに「冬」が訪れ、手札のカードを使って部隊の補給なんかができたりします。ゴリゴリドーピングする我がオーストリア軍。









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ターニングポイントになったのは5ターン目かな。

我がオーストリア軍が、北から迫るプロイセンおよびザクセンの兵站部隊の駆逐に成功!

兵站部隊は、それ自体は戦闘能力を持たないのですが、敵国の領土内にいる将軍は、兵站部隊がいないと大きく戦力を削がれ、要塞を占領することもできなくなるのです!

水中戦における酸素ボンベみたいなもんやね。





マリア「ほうら、息できる???息できる???(酸素ボンベを手の届かないところに掲げながら)」

フリードリヒ「△×※○☆◆~~~!!」


的な図を想像してもらえればいいかと思います(よくない)










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呼吸をしようと、一時撤退を余儀なくされるプロイセンとザクセン!これでだいぶ余裕がでてきた!

二度目の冬に一気に兵力を貯め込んだ我がオーストリア軍、ラスト3ターンを耐え抜く準備!










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7ターン目。西からフランス&バイエルンが猛攻を仕掛けてきます。当たり前ですけど普通に正面から攻められると辛いですねマリア。











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最少被害での負けで戦闘をいなしながら、北で見せたのと同様の手口で、フランスとバイエルンの兵站部隊を駆逐!

これでルイ15世はもう怖くない!











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8~9ターン目にようやく北から戻ってきたフリードリヒ部隊でしたが、時すでに遅し。

9ターンを無事耐え抜き、マリア・テレジア率いる我がオーストリア軍が勝利を収めました!やったわよ!










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ウォーゲーム、と聞くと肩肘張ってしまいますが、盤面全体を見回しながらあっちでこっちでやり繰りしていく感覚は、ボードゲーマーならシャクシャク楽しめちゃうんじゃないかしら。

プレイ時間はインスト抜きで2時間ぐらいでした。(比較的)お手軽に楽しめてよいですね。



















◆上級ゲーム

しかーし!!ここまではあくまで予行演習!

『マリア』は、この上級ゲームで真の姿を露わにします。






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まず目につく大きな変更点としては、マップをすべて使う点ですね。

さらに、フリードリヒは国事軍のコントロールを得て、二重人格性を帯びた存在となります。









さらにさらに、ターン毎に2枚、イベントカード的なやつが登場!

これにより、周辺国であるイタリアやロシアの動向がプレイヤーに影響を及ぼしたり、フランスvsオーストリアの皇帝選挙が行われたり、ザクセンがオーストリアに寝返ってみたりします。

イベントカードを実行するか否かは、カードを使ったなんちゃって競り的なミニゲームで決めます。アツい。




おまけに、プロイセンがオーストリアと仲良くする代わりに領土を広げたり、フランスがオーストリア本土から撤退したりといった政治戦略的アクションが追加されたり、プレイヤー間で拘束力のある交渉ができたりするようになります。

エリアコントロール&リソース管理的な要素が強かった初級ゲームに比して、上級ゲームは交渉的な要素が大きくなってくる感じ。







そして最大の変更点が勝利条件!

全プレイヤー共通で、自国の勝利点プールを空にした瞬間勝利となります。


ゲーム開始時に、規定数の勝利点マーカーを自国のプールに置いておいて…

敵の要塞を支配したり、条件を満たしたりする度に、プールから勝利点マーカーを置いていく。

最も早く、規定数のマーカーをボード上に出しましょうという。









プレイするキャラクターを初級ゲームと変更するか3人ですごく迷ったのですが、なんか愛着も湧いてきちゃったしそのまま行くことにしました♨

というわけで、再び私はマリア・テレジアをプレイ。よろしくお願いします。














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1ターン目、まずはイベントカードの競りから!

これめっちゃ大事だな~~平気で勝利点置けたり、兵力や手札枚数をいじられたりする。

無事競り落としたイベントカードで、イタリアを誘惑しつつ、フランスの手札補充枚数を減らすことに成功。









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そして各国の手番を始めるわけですが…マップが広い♨

初級ゲームで使用したエリアと、今回新たに登場したエリア、実は行き来できるのは一部の国のみ。

なので、戦場が広くなったと言うよりは、別々のゲームを二面打ちしてるみたいな感覚が強かったです。

でもリソースは共通だし、どちらでも勝利点マーカー置けちゃうから、やっぱり両方の戦局をずっと肌で感じていないといけない。




特に、右半分ではプロイセンとしてフランスと共にオーストリアを叩き、左半分では国事軍としてオーストリアと共にフランスを叩くフリードリヒは尚更よね。













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ボード右半分は初級ゲームと同様守備を固めつつ、左半分では国事軍と共にフランスへと銃口を向けます。

1ターン目から、退路を断たれたフランスの将軍1人のノックアウトに成功!

勝利点もゲットしてご機嫌である。











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2~3ターン目、右半分では変わらず北と西をそれぞれ抑え込みながら、左半分では選挙に向けた選挙活動を行っていきます。

4~7ターン目のいずれかの終了時に行われる皇帝選挙。フランスかオーストリア、勝った方は勝利点を獲得できる、大きな選挙です。

勝つためには、選挙権を持つ要塞の占領が必要!というわけで、ボード左半分を飛び回るオーストリアの選挙カー









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地道な活動が功を奏し、4ターン目の終わりに無事皇帝選挙で勝利を収めることができました。いえい。









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実はこの時点で、オーストリアの勝利点プールにはあと1~2点かそこらの点数しか残っていませんでした。

フランスやバイエルンに積極的に殴りかかり、選挙でも成果を上げたオーストリア。













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「あれ…?これゲーム終わるのでは…?」という雰囲気の中、5ターン目のイベントカードによって、イタリアがオーストリアのマイメンに。

オーストリアの最後の勝利点マーカーが配置され、交渉の「こ」の字も出ることが無いまま、マリアの勝利で上級ゲームは幕を閉じました。


プレイ時間は90分。なんと初級ゲームより短かったぞ。

オーストリアが序盤を抑え込まれれば、一気に長期戦にもつれ込みそうな予感。













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やっぱり上級が本番ですね~~できることの幅の広さが段違いである。


気に入ったのは、二面打ちよりも難しい二面打ちをさせる部分でしょうか。

別々の盤面に見せかけて、あっちで体力が削がれたアイツをこっちでボカスカ、とか、ちょっとこっちで調子乗ってるアイツをあっちで助けない、とか、最終的に一面打ちであることを意識しながら運用しなければなりません。

交渉や戦術部分はほとんど体験できませんでしたが、それは今後のお楽しみということで…















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結果、マリア・テレジアで初級&上級2連勝。めっちゃ楽しい1日でした。

未プレイの人がいれば初級・上級通しで遊ぶべきだと思うので、「今日は『マリア』を遊ぶ日」ぐらいの気持ちで臨まなければならないところがすごく難しいのですが、いざ始めてしまえば、濃密な時間が3人を待っています。

もうすぐにでも再戦したい勢いだ!機会は作るもの!



















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というわけで、『マリア』のご紹介でした!



遊んでいると、オーストリア継承戦争にすごく興味が湧きます。プレイ後に、色々調べて読んでるとめっちゃ楽しい。

学生時代にボードゲームに出会っていれば、歴史も地理ももっと好きになれたのかも知れません。